僕はネックレス。
ネックレス

朝食の匂いが
城中に飽和している。

夜中から警備についている兵士達は
その匂いで
唾液が溢れそうになるのを堪える。

城下町の女達は既に洗濯物を干し終え、
こちらも朝食の準備に取り掛かっている。


いつもどおりのいつもの時間。
皆が同じ朝を迎えている。


そんな中、

『王子専属執事兼教育係』の〈じいや〉が
王子を起こしに向かっていた。


そう、

これもいつもどおりのいつもの時間。

皆と同じ朝を迎える筈だった。




王子ひとりを除いてーー。








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