僕はネックレス。
王は既に食堂にいた。
じいやは息を切らせて王の元へ駆け寄る。
そして王子の部屋で何があったか、
さらに“何が”無かったかを必死で伝える。
食堂の時間が一瞬止まる。
が、
すぐにそこにいた兵士達がざわめき
時間が動きだす。
そして、一人の兵士が言う。
「おい!じいや殿!
おまえいつから
そんなセンスの無い
冗談を言う様になった!?
おまえの首が飛ぶぞ!」
食堂内の何人かがクスクスと笑う。
「静まれい!!」
王はドカンッとテーブルを叩き、吠えた。
料理の入っている食器やフォークたちは宙に浮き
行き場を無くし、仕方なく床に落ちる。
「……取り敢えず状況を確認しに行くぞ。
お前達、付いて来るんだ」
『はっ!』
数人の兵士が王の後に続く。
「今頃は救護班が王子の部屋に向かっている事でしょう」
じいやがさらに後に続きながら
独り言の様に言っている。
「……ついにこの時がきたか……」
誰にも聞こえぬ様な細い声で
王はつぶやきながら歩いていた。