恋色
始まり
「早倉ひなたです、よろしくお願いします」
「じゃあ、あそこの席にすわってください」
「はい」
早倉ひなた(さくらひなた)16歳
高校1年の7月という、なんとも微妙な時期に
親の転勤のせいで
地元から新幹線で約3時間のこの地へ引っ越してきた。
人生で初めての「転校」を体験してしまった。
7月といったら、女子同士のグループが完全に出来上がった時期だ。
「人見知り」というこの性格のあたしには
最悪な状態だ。
あたしから話しかけるなんて、まず無理。
窓側の一番うしろの席につくまで、クラス全員の視線を浴びることが
辛くてたまらない。
ちなみに、ここは私立女子高。
小学校中学校と公立に通っていたあたしには新鮮だ。
こんなあたしに
友達はできるのか?
女子ばかりの環境で
恋愛はできるのか?
これからの生活が
不安で仕方ない..。