今君に伝えたい事...
夢を見ていたかのように俺は、亜紀と付き合うことになった日のことを思い出していた。
電車の窓から見える景色が気がつけば辺り一面田んぼになっていた。
俺は亜紀の死ともう一度向き合うために、地元へ帰る途中だった。
ここには、二人の思い出が刻まれた場所がたくさんある。
だからこそ
俺はこの地を離れて都会へ出た。
それから戻ってきたのは初めてである。
俺は、何も考えずに少しずつ懐かしい景色になってゆく窓を見つめていた。
───「あの日の事もいつか思い出すのか?」───
───「……お前がまた苦しむ姿を見るのが一番辛いんだよ」───
将の言葉が今頃になって頭に響き始めた。