今君に伝えたい事...
「あぁ…聞いてくれるか?」
「何でも聞きますとも」
俺はもう一度ビールを喉に流し、気持ちを落ち着かせた。
「……亜紀に…会ったんだ」
彼女の名前が出ると将の顔が少し変わった。
亜紀が死んでから俺が彼女の名を口にした事がなかったからだろう。
「…杉浦ちゃんに?」
「ちゃんと話したし…亜紀だった」
「……疲れすぎなんじゃ」
「違う」
俺は将の言葉を遮った。
「杉浦ちゃんは…何て言ったんだ?」
「…私を忘れようとしないで欲しいって……言ってた」
「でもお前…忘れられなかったら次に進めないじゃ…」
将が真っ直ぐ俺の目を見て言った。
「忘れようとした……でも苦しかったんだ」
「…そっか。今はどうしてるんだ?」
「夜になると…高校の思い出が鮮明に見えてくる」