恋の行方
「…じゃあ、始めようか?」
「はい。お願いします」
「それで澪ちゃんは、どこがわからないの?」
教科書をパラパラと捲りながら問いかけてくる来栖さん。
「えっと、2年に上がってから、全然ついていけなくて」
「澪ってそんなに英語苦手だった?1年の時はなんにも言わなかったじゃん」
恥ずかしさから、たどたどしく伝える私を驚いた顔で凝視するお兄ちゃん。
「それが…今の先生になってからなの。すごくわかりにくくて」
「先生の教え方が悪いって事か」
不満そうな顔をしたお兄ちゃんが、私の頭を優しく撫でた。
「いいよ。わかった。じゃあ2年の最初からだね」
なんの問題もないよと言うような来栖さんの優しい笑顔が飛んできて、不覚にもときめいてしまった自分に驚愕してしまう。
だってときめくなんて…
今まで男の人にときめくなんてなかったし、ましてや来栖さんみたいな王子様系にときめくなんてありなえないはずなのに。