恋の行方
だけど第一印象なんて当てにならないって思い知らされた…
あれが来栖さんの本性なのよね。
そうじゃなきゃあんな意地悪な態度とれるはずがない!
でも初めて来栖さんが家に来た時、油断ならないっていう感想が浮かんだのも確かなんだよね。
それを、あのふんわりとした雰囲気のせいで完全に喪失してた。
そういえば、帰る時はまたねって私の頭を優しく撫でた。
あれは来栖さんの癖?お兄ちゃんと同じ癖があるのかな…
フッと頭を撫でられた感触を思い出して、気恥ずかしく…ってどうして?
前にも撫でられた事はあるし、お兄ちゃんにはいつもしてもらってる事なのに…
それがどうしてなのかわからなくて、頭を抱えること数十分。
考えあぐねていると階下から玄関が開く音が聞こえてきた。
それは来栖さんが帰ってから、1時間ほど経ってからの事。
私はモヤモヤと霧の中にいるような気分のまま階下へと急ぎ、お兄ちゃんに訊ねた。