恋の行方


でもそれは、お兄ちゃんに何度か教えてもらっていたし、これからも…って考えてたら昨日の事を思い出して気分が下降しそうになる。

すっと悲しげに目を伏せた私に気付いたのかどうかわからないけど、来栖さんは私の頭に手を乗せた。

「これからは、どの教科も俺が教えてあげるから」
「…でも困ってるのは、英語と数学だけだから」

その手と柔らかな口調に下降しはじめた気分が急速にストップするのを感じて来栖さんに言葉を返した。

「遠慮しなくてもいいよ」

遠慮と言うか…これは遠慮とは言わないなぁと思いながら、来栖さんを見ると、にこやかに微笑んでいて、それは否定を受け入れないと言われているような気がした。

実際、私に拒否権はなかったようで、完全に強制になった事は言うまでもない。


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