恋の行方


結局、図書館の閉館時間までみっちり勉強させられた。
学校の成績は全体的に悪くない(今のところ英語と数学以外は)方だと思ってるけど、それでも勉強が好きなわけじゃない。

だからやっと終わった時にはぐったりと疲れてた。

「お疲れさま」

机の上に突っ伏していた私に穏やかな声が降ってきて、髪をくしゃくしゃとするように撫でられる。
とたんに体温が急上昇して鼓動が早くなった。

うぅ…さっきも撫でられたのに…っていうか乗せられただけだったけど…


「頑張ったご褒美に、今度何か奢ってあげようか」
「ほんと!?」

奢るという単語に反応して顔を上げる。
鼓動が早くなったのは、気のせいだ。そうに決まってる。

「なにがいい?」
「和菓子が食べたいっ」
「わかった。近くにおいしい甘味処があるからそこに行こう」

おいしい甘味処と聞いた瞬間、パァッと気分が明るくなって疲れなんかどっかにいっちゃた。
満面の笑顔で「絶対ねっ!」と念押しする。

私は洋菓子も好きなんだけど、洋菓子と和菓子を並べられたら和菓子を選んじゃう。
餡が大好きなんだよね。


< 26 / 65 >

この作品をシェア

pagetop