恋の行方
「澪?どうしたの?」
「…あっ……」
「大丈夫?気分でも悪いの?」
急に足を止めて顔を歪めた私に、優しい声をかけてくれる友達。
私は無理矢理、笑顔を作り「大丈夫、なんでもないの」と言って、また歩き出す。
今、1人になるのは嫌。
絶対に1人は嫌…
でもそれからの私がどこに寄ったのかも覚えてなくて、気付いたら友達がカラオケで歌ってた。
心此処に在らずだった私は、どれくらい時間が経っているのかもわからなかった。
友達に「そろそろ帰ろうか」と肩を叩かれて時計を確認すると、お兄ちゃんが提示する門限を2時間も過ぎていた。
「…えっ、もうこんな時間?」
慌てて鞄から携帯を取り出すと、お兄ちゃんからの着信が何度も残っていた。
それでも電話をかける気にはなれず、携帯を鞄に戻し友達と一緒に店を出て、家路についた。