恋の行方
心配
家に着いた時には時計の針は天辺を指す数分前だった。
リビングに入ると、お兄ちゃんと来栖さんが私の帰りを待っていた。
その事に驚いたと同時に動揺する自分がいた。
「澪!何度も携帯に電話しただろ!」
めずらしく怒りを露にしたお兄ちゃんが私を叱り付ける。
「どうして連絡しなかったんだ。どれだけ心配したと思ってる」
「…子供じゃないんだから、いいじゃない」
私は2人の顔を見たくなくて、俯いて呟くように言った。
「澪ちゃん、今は子供だとか子供じゃないとか、そんな事を言ってるんじゃないだろ」
来栖さんが冷たい口調で言う。
まるでその空間が凍てついてしまいそうだった。
「こんな時間まで女の子が連絡もしないで帰って来なかったら、心配するのは当たり前でしょ?」
「…心配されるとは思わなかった!」
続けて放たれる言葉に、何度も携帯に着信が残っていて、心配されていないとは思わなかったけど、ついそんな言葉が口をついて出てしまった。