恋の行方
「どういう意味?」
「だいたい、どうして来栖さんがいるの?」
「俺が質問してる」
話を変えようとしても、来栖さんは冷たく冷え切った目で私を突き刺し、それを許してくれない。
「……バイトだなんて嘘ついて…私の事、避けてたじゃない。来栖さんだって…来栖さんだって、私との約束なんかどうだっていいんでしょ!」
「澪、どうしてそれを…」
「澪ちゃん?俺がいつそんな事言った?」
2人がほぼ同時に言葉を発する。
やっぱりお兄ちゃんは嘘を吐いてたんだって確信した。
「…私はいらない子だもの。仕方ないよね」
「澪っ!」
「どうしてそんな…」
自然に出た言葉だった。
その言葉にお兄ちゃんは動揺して、来栖さんはわけがわからないという顔をしている。
こんな事言うつもりなかった。なかったんだけどな…
どうしたんだろう…なんだか、目の前がぼやけてきた。
頭がクラクラして、立ってるのが辛い。
「澪ちゃん、どうしてそんな事…」
来栖さんの少しトーンの下がった哀しそうな声が微かに聞こえてきたけど、じょじょに意識が遠のいていく私が返事をする事はなかった。