恋の行方


泣いてる。小さな女の子が。
耳が痛くなるほど静まり返った暗闇で。
誰も…他には誰もいなくて、怖くて寂しくて孤独で。

しゃがみこんで、目を痛いほどに硬く閉じて、耳を塞いで…そこで泣いてるのは私。


しばらくすると、優しい手が私の頭上に下りてきて、私は1人じゃない大丈夫だと言うように優しく撫で下ろされた。

その手が引いていく気配に顔を上げると、そこにはもう誰もいなくて…
『どこに行ったの?置いて行かないで!』と駆け出した。

すぐに誰かの大きな背中が見えたけど、追いつく事は出来なかった。

追いつく前に目が覚めたから。



昔、よく見ていた夢。
いつだって同じ場面で目が覚める。

久しぶりに見たな。

そう思いながら、目を薄く開けると、部屋の中は薄暗かった。
だけど小さなライトの光を感じて、その光だけで周りを見渡すには充分そうだった。


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