恋の行方
「来栖…はぁっ…もういい。今日は帰れ」
大きく溜息をつきながら帰れと言い放つお兄ちゃんに、来栖さんは今にも舌打ちしそうなほど苛々してる…気がする。
お兄ちゃんはそれを気にも留めず、私達の間に割って入ったかと思うと、来栖さんを玄関へと追い立てた。
私はと言うと…羞恥が嵐のように吹き荒れていて、2人のやり取りを見守るのが精一杯。
2人がリビングから姿を消すと同時に、ペタリと床に座り込み両手で顔を覆っていた。
ダメだ…恥ずかしすぎる。
穴があったら…ううん。穴を掘って入ってしまいたい。
それもこれむ来栖さんのせいよっ!バカッ!
どうしてわかっててあんな…あんな恥ずかしい事っ!
私自身がお兄ちゃんの存在を忘れていた事を棚に上げ、私は心の中で来栖さんに悪態を吐き続けた。