恋の行方


「ちょっ…ちょっと待って!」

だけど私は近づいてくる来栖さんの顔を押し返しながら叫んでいた。
たぶん反射的に。

だけど、これは必然で。

「澪ちゃん?」
「あっ…その、もうちょっとだけ時間、ほしいかな、なんて」

徐々に顔が曇っていく来栖さんに、語尾だけトーンを上げて、えへっと笑ってみせる。
だけど曇ってしまった顔に変化はなくて、私の顔からもすぐに笑みが消える。

そんな哀しそうな顔をしないでって思うのと同時に、来栖さんの顔を見ていられなくなって目を伏せてしまう。

来栖さんとキスするのが嫌なわけじゃない。

この前だってお兄ちゃんっていう邪魔が入らなければ、キスしてたと思う。
って言っても来栖さんの逆らえない空気によって、動けなくなってただけなんだけど…


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