恋の行方

「…澪ちゃん、好きだよ。俺と付き合って欲しい」
「えっ…く、来栖さ、ん？」

逃げることの出来ないその瞳に見据えられて何を言われるのかと思ったら、突然の告白で戸惑ってしまう。

「まだちゃんと言ってなかったと思ってね」
「あ…」
「で？澪ちゃんの答えは？」

全てを見透かしたような瞳で問いかけてくる。
余裕のその態度はどうかと思うけど、それでも私の答えは決まってしまっているのだから仕方がない。

「はい…」
「ダメだよ。ちゃんと俺の事、どう思ってるのか言ってくれないと」

小さく小さく答える私に、さらに言葉を強要する。

尊大なその様子に私はほんの少しだけ顔を歪めて見せた。
でもそれは無意味だったみたい。
来栖さんは、今にも『どうしたの？』なんて口にしそうな顔で、首を傾げたんだから。

やっぱり私は来栖さんに逆らえそうにない。


「…私も、来栖さんが、好き」
「よく出来ました」

どうしても小さな声になってしまう私に満足気な笑顔で、優しく包み込むように頭を撫でてくれる。