恋の行方



―そうやってこれからも私の想いも言葉も引き摺り出してしまうの?


来栖さんはしがみつくように抱きついた私の顎を持ち上げた。


「…澪……」


そして甘く甘く囁くように、私の名前を呼んだ。


―その絶対的な笑顔にいつだって私は負けてしまうんだよ。


私は来栖さんの耳元に唇を寄せる。


「……」


そしてまるで内緒話でもするように囁いた。
来栖さん以外には誰も聞こえない程、小さな声で。



―うん。大丈夫。


―その度にこうやって強く強く抱き締めてくれるなら…











END.
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