恋の行方
兄の友人


「ただいまぁ。澪?帰ってるのか?」
「おかえりなさい。お兄ちゃん」

玄関から聞こえてきたお兄ちゃんの声に反応して、リビングから顔を出した。

お兄ちゃんだけだと思っていたのに、玄関に立っていたのは、1人じゃなくて2人だった。

「ただいま。あっ、こいつこの前言ってた奴。来栖圭って言うんだ」

顎で指し示すような仕草で、私に紹介するお兄ちゃん。

「よろしくね。澪ちゃん」

そんな紹介の仕方は失礼なんじゃないかなと思ったけど、それを気にする様子もなく、ニッコリと微笑んだその顔は、どこかの品のいい王子様を思わせた。

「…あっ、はじめまして。澪です」
「とにかく上がれよ」
「あぁ、そうだね。じゃあ、お邪魔します」

なんだか話し方まで王子様っぽいなぁなんて思ったのと同時にナルシスト?という飛躍しすぎた疑問が湧いていた。


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