恋の行方


来栖さんをリビングに通して、とりあえずお茶の用意をしていた私は突然の人の気配に振り返ってすごく驚いた。


「くっ、来栖さん?どうしたんですか?」
「手伝おうかと思ったんだけど、驚かせちゃった?」

ソファに座ってもらったはずの来栖さんが、いつの間にかキッチンにいた私のすぐそばに立ってたんだよね。

「大丈夫ですけど…お兄ちゃんは?」
「着替えてくるって、部屋に行ったよ」

ニッコリと王子様スマイルを向けられて、どうしてだか怯んでしまう私にそのままの笑顔で話を続ける来栖さん。

「澪ちゃんって、尚輝とあんまり似てないね」
「…そうですか?」
「うん。似てない」
「……」

きっぱりと断言され二の句が告げない。

黙ったままでいると、ガチャッというドアが開く音と共にお兄ちゃんが現れた。


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