恋の行方
「あっ、お茶入ったんで、座って下さい」
なぜか私の返答を待つようにジッと見つめられていたけど、お兄ちゃんが入ってきた事で気がそれた来栖さんをソファへ促した。
「澪、勉強道具は?」
「あっ、今持ってくる。ちょっと待ってて」
私はお兄ちゃんに言われて、お茶をテーブルに置き、自分の部屋に向かった。
その途中で私が思った事は、来栖さんは油断ならないという事。
「ごめんなさい。お待たせしちゃって」
2階に上がっていたのはほんの数分だったと思うけど一応謝っておいた。
「構わないよ」
煌びやかな笑顔を返され、一瞬硬直してしまう。
それを悟られないように笑顔で返し、来栖さんの正面に腰を下ろした。