君に届け
でも、池澤はそれで終わらずに続けた。
「基本はお前の言った通り、勉強を教える仕事だ。だけど、俺はそれだけとは思わない。」
「え…?」
「俺は、勉強を教えるだけの教師にはなりたくない。そんなの、虚しいだけだと思うな…」
虚しいだけ…?
「教師はな、生徒の上に立つんじゃない。横にいるんだ…」
池澤は、あたしの頭に手を置いて、笑顔を見せた。
「生徒と一緒に楽しんだり、時には悩んだり…まぁ、ちょっと年上の友達みたいな感じかな?」
教師が友達…?
「俺はそんな教師を目指してる。いつまでも生徒と同じ目線でいれる、そんな教師になりたい…」
やっとわかった。
この人は違う…
あたしが今まで会ってきた教師たちとは、全然違う。