君に届け
あたしは、池澤の目をじっと見つめた。
「な…なんだよ?」
「変な奴なんて言ってごめん。アンタ、いい奴だよ…」
あたしは、思った通りの言葉を口にした。
その言葉を聞いた池澤は、照れくさそうに視線を反らした。
「幸村…お前、俺を誉めてんの?」
「さぁね。アンタの思いたいように思えば?」
本当は誉めてる。
素直には言わないけど…
池澤の描く教師像はすごくいいものだと思う。
だから、池澤には本当にそんな教師になってもらいたい。
夢で終わらないで欲しい…
「お前が誉めてくれるなら…俺、頑張っちゃおっかな?」
「なにそれ…」
「よし!お前が高校卒業するまでに、俺は夢を叶える。約束な!」
「いいよ。その代わり、約束破ったらただじゃおかないからね…」
「おう!!」
そう言って、池澤はあたしの頭を乱暴に撫でた。