君に届け
「う〜ん…」
冷蔵庫を覗く幸村の後ろ姿を見ていると、つい思ってしまう。
可愛い…なんて。
「本当に何にもないね…池澤、ご飯はある?」
「飯?あるけど…」
何を作ろうとしているのか、俺にはわからない。
「だったら…チャーハンぐらいなら出来るかも。あたし、作るよ。」
「やってくれんの?」
「…悪い?」
「いや…悪くない。」
ここは素直に、幸村に任せることにした。
「じゃあどっか行ってて。見られてるの嫌だから…」
「了解〜!」
幸村に従い、俺は隣の部屋に行くことにした。
仕事場兼寝室。
ここも結構散らかってて、資料とかがたくさんある。
「………片付けるか。」
講師として働き出してから色々あって、部屋を片付ける暇がなかった。
この際だし…
やってみるか。
俺は散らかった資料に手を伸ばした。