君に届け
「でもな、幸村。俺もバカなりに苦労するんだぜ?」
「なによ…」
「目の前にいる奴に、どうやったら伝わるかなって考えること!」
そう言うと、池澤はあたしを強く抱きしめた。
「……!!」
「俺、不器用だから、ちゃんと自分が思ってることを伝えられないんだ…
相手に気付いて欲しいって、つい思っちまう。だから後になって後悔する。
でもさ…もう、後悔なんてしたくないんだ…」
池澤の言葉を聞きながら、あたしは愛奈さんのことを思い出す。
後悔…
「だから言う。一回しか言わないから、ちゃんと聞けよ…」
そう前置きしてから、池澤は言葉を発した。
「俺…
お前のこと、好きだ…」
思わず耳を疑ってしまうようなことを聞いてしまった。
池澤が…あたしを好き?