君に届け
嘘でしょ…?
「本気で言ってるの…?」
「ん?本気に聞こえない?てか、こんな状況で嘘付いて何になる訳?」
「でも…」
あり得ない。
信じないよ、あたしは。
少しは他人を信用出来るようになったけど、こればっかりは疑う。
「信じてくれない?」
「う…」
池澤は、あたしの耳元でそう言った。
返す言葉に詰まる。
「俺、これでも結構本気なんだけど…幸村は俺のこと嫌い?」
嫌いなら、抱きしめられてる今の状況で黙ってる訳ないじゃん…
なんて、言えるはずもなく。
「嫌い…じゃ…な、い。」
途切れ途切れの言葉で、池澤に告げた。
「じゃあ、何?」
何って…
「…きだよ…。」
「ん?」
意地悪に聞いてくる池澤。
あたしは精一杯の力で池澤を押し返した。
そして言ってやった。
「好きだよ!!!」