君に届け
あたしが何が起こったのかを理解する前に、憲介は唇を離した。
そして、軽くあたしに微笑みかけると、レンジに歩み寄る。
さっきのって…
「よし…温まったし、食べよっか。…穂波?」
「あ…うん。」
さっきの出来事に動揺しっぱなしのあたしは、ぎこちなく返事をする。
でも、額にキスされただけで動揺するなんて、変なのかな…?
その後、憲介が作ってくれた料理を食べてる時、恥ずかしくてろくに憲介の顔も見れなかった。
料理は…美味しかった。
お礼と言ったら何だけど、あたしは進んで後片付けをした。
後で部屋の片付けもしてあげよう…
「穂波。」
「ん…?」
後片付けが終わり、あたしが寝てたソファーに微妙な距離を開けて2人で座る。
「もう遅いし、明日も学校あるし…家帰る?」
もうそんな時間か…
「うん…」
本当は帰りたくないけど、憲介にも迷惑だし…
あたしは気が乗らないけど、帰ることにした。