君に届け



「お前、手冷たい。」



「うるさいなぁ…」



そう言いながらも、あたしは池澤の手を握り返す。



繋がれた手。



それを見ると、また恥ずかしくなってきた…



自分の顔が火照ってくるのがわかる。



男の人と手を繋いだりするのは初めてじゃないはずなのに…



「幸村、また顔真っ赤。照れてんの?」



「ち…違う!!」



必死に強がろうと、あたしは否定した。



「見栄張らない!全く、可愛くないな…」



「ほっといてよ…」



そんな言い合いをしてる間に駐車場に着いた。



手を離して池澤は運転席、あたしは助手席に座る。



あたしの家はここから近いから、すぐ着くな…



なんか、少し寂しい…






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