君に届け
素早く振り向くと、そこには予想通りの人物がいた。
「あんた、こんな時間に何やってんの?まだ制服だし…」
濃いメイクにきつい香水の香り、派手な服…
あたしが世界で一番苦手とする、あたしのただ1人の…お母さん。
「別に何でもいいじゃん、そんなの…」
「ふぅ〜ん…まぁいいけど。」
気まずい空気の中、エレベーターがやって来て、2人で乗り込む。
終始無言のまま、部屋へと歩いていく。
「穂波…」
「なに?」
そんな時、部屋を開けようと鍵を取り出したあたしの名前をお母さんが呼ぶ。
「あんた…嬉しそうな顔してるけど、何かあったんでしょ?」
「え…?」
何言ってんの、この人…
「学校、楽しいの?」
初めて疑問形で何かを聞かれた気がする…