君に届け



「だから…」



「その池澤って人は?あんたの気持ちに気付いてる訳?」



黙っていた彼女は、あたしの言葉に割り込んだ。



気付いてるっていうか、向こうが先に告白してきたよね…



「うん。てか、今日向こうから告白してきた…」



「OKしたの?」



話が進む度に、彼女の顔や声から真剣さが伝わる。



あたしはその威圧感に負けて、ゆっくりと頷いた。



「そう…穂波ももう15だもんね。彼氏の1人や2人、出来て当然よね…」



あたしの年なんてどうでもいいこと、ちゃんと覚えてるんだ…



あたしは、だんだん彼女に対する嫌悪感がなくなっていることに気付く。



「でもまさか、その相手の人が教師とはね…お父さんが聞いたらびっくりして倒れるかもよ?」



「だね…」



お父さんの話が出るのもかなり久しぶり。



「池澤…何て言うの?」



「憲介…」



「そう…穂波、いつかその池澤さんに会わせて?私からも言いたいことがあるわ…」



言いたいこと?






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