君に届け
「穂波のこと、よろしくお願いしますってね。」
彼女の言葉を聞いた瞬間、あたしは驚いた。
その言葉が意味することはただ1つだと思ったから…
「認めて…くれんの?」
その真相を確かめるべく、あたしは聞いた。
「当たり前。だって、私に穂波の幸せを邪魔する権利はないじゃない…私自身、今まで散々勝手なことをして、あなたを傷付けたこともあったでしょ…?」
彼女は言い終わると、申し訳なさそうな表情を浮かべてこっちを見た。
「だから…穂波にはちゃんと幸せになって欲しいの。私のようにはならないで…」
「お…母さん…」
こんな風に彼女をお母さんと呼ぶのも久しぶり─
そして、あたしは完全に今まで感じていた嫌悪感を手放した。
いい人…じゃん。
「ありがと…」