君に届け
連絡
池澤とのことを理解してくれたお母さんに、あたしは素直にお礼を言った。
彼女は笑顔をあたしに向け、こう言った。
「実はね…今の仕事、辞めようと思ってるの。遅いけど、これからちゃんとした道を歩いていくつもり。」
そして、明日は就職活動をするつもりであることも話してくれた。
先にお風呂に入ってくると言い、お風呂場に向かった彼女の背中を見ながらあたしは嬉しく思った。
また昔のように、2人仲良く出来る日は、そんなに遠いことではない気がしたから…
「あっ…!」
そんな時、あたしは池澤に連絡しないといけなかったことを思い出した。
慌てて携帯を取り出し、メモを見ながら番号を打っていく。
通話ボタンを押し、携帯を耳に当てて、池澤が出るのを待っていると…
『もしもし…?』
なんだか眠そうな池澤の声が、携帯を通してあたしに伝わってきた。
「池澤?あたし、幸村。」
『幸村…あぁ…お前か。ちゃんと家着いた?』