君に届け
あたしは思ったままの人の名を口にする。
『えっ?ど〜してわかんの?すげぇな、お前!』
「勘だよ…勘。」
『鋭いなぁ…あっ、先輩変わんないって。2人で話しとけだって…』
こんな時間に池澤の家にいる人なんて、葛城先生以外に考えられないし…
『あっ、そうそう。ちなみに先輩はな、俺らの近くに住んでんだぜ?』
「へぇぇ…」
どうでもいいよ、そんな情報─
『…まぁとにかく、お母さんと話出来てよかったな。俺も会いたいって伝えといて。』
あたしが興味なさそうに返事したのを悟ったのか、池澤は話を切り替えた。
「うん…」
『じゃあ…俺、明日の授業の準備しないとだし…切るな。また明日。』
「うん、バイバイ…」
授業の準備を邪魔しちゃいけないもんね。
あたしが電話を切った直後、お母さんがお風呂場から姿を現した。