君に届け



「彼氏と電話?」



あたしと目が合うと、お母さんは笑みを浮かべながら言った。



「うん…まぁ。」



「やっぱり。幸せそうな顔してるもんね?」



そんな顔してる…?



「穂波、本当によかったわね。じゃあ私寝るから、あんたも早く寝なさいよ?明日も学校だし、彼氏に会わないとだし…」



お母さんはそう言うと、あたしの頭を撫でた。



「…おやすみ。」



「うん…」



池澤のおかげで元の仲に戻りつつある、あたしとお母さん。



話してよかった…



今は本当に心からそう思ってるんだ─



お母さんが部屋に入っていく後ろ姿を見ながら、あたしは小さい声で呟いた。



「ありがと…」







< 135 / 282 >

この作品をシェア

pagetop