君に届け
「彼氏と電話?」
あたしと目が合うと、お母さんは笑みを浮かべながら言った。
「うん…まぁ。」
「やっぱり。幸せそうな顔してるもんね?」
そんな顔してる…?
「穂波、本当によかったわね。じゃあ私寝るから、あんたも早く寝なさいよ?明日も学校だし、彼氏に会わないとだし…」
お母さんはそう言うと、あたしの頭を撫でた。
「…おやすみ。」
「うん…」
池澤のおかげで元の仲に戻りつつある、あたしとお母さん。
話してよかった…
今は本当に心からそう思ってるんだ─
お母さんが部屋に入っていく後ろ姿を見ながら、あたしは小さい声で呟いた。
「ありがと…」