君に届け
あたしの目の前には、懐かしい姿があった─
寺田 侑隼【テラダ ユウト】
あたしが中学の時、学校をサボって街をぶらついていた時に出会った男。
学校は違うけど、あたしと同級生で、結構悪い奴だった。
「久しぶり…だな。」
「何しに来たの…?」
高校入試を意識し始めた中学3年から、関わりは一切なかったのに…
「お前に会いに来た。高校…受かったんだな。」
そう言う侑隼だって、近くの高校の制服着てる…
「うん、まぁね。アンタも受かったんじゃん…」
この学区内で一番レベルの低い高校の制服を着た侑隼に言った。
あたしは元々普通並みの成績だったし、頑張れば成績は上がる人だった。
でも侑隼は、筋金入りのバカだったように記憶している…
「遅いけど、合格おめでとう…」
侑隼らしくない言葉を淡々と告げた。
一体なに…?