君に届け
明るく、元気にあたしたちに挨拶してきたのは…
池澤以外の何者でもなかった。
「池澤先生、おはよ!」
「おぉ、矢野はいつも元気だな。それに比べて…」
池澤はあたしの頭に手を置き、髪を乱した。
「幸村ぁ〜、お前はどうしてそんなに元気がないんだぁ〜?」
「池澤、やめてよ!」
昨日色々あったけど、池澤の態度はそんなことは微塵も感じさせない。
今までのように、池澤なりの普通であたしに接してくれている。
「ははは…穂波と池澤先生はいつも仲良いよね〜。見てて笑える!」
綾芽はそう言いながら、もう笑ってる。
「綾芽!」
池澤に乱された髪を整えながら、あたしは綾芽を睨み付けてみた。
ここではあたしと池澤は、教師と生徒だから…
「冗談だって!そんなに怒らないでよ〜」
「何回も言ってるけど、あたしと池澤は仲良くないから!!」
「ひでぇな…幸村。別に仲良くしてくれたっていいだろぉ〜…」
池澤は少し拗ねたような顔をした。