君に届け
嫌いな物を言い終わった池澤は、その場に座って空を見上げた。
あたしも真似をして、隣に座って見上げてみる。
ゆっくりと空を泳ぐ雲は、真っ白でとても綺麗に見えた。
「綺麗だな…」
「うん。」
池澤も同じことを思ったのか、小さな声で呟く。
「先輩怒ってるかな…」
「わかんない…でも、確実にあたしは怒られるね。」
授業サボってこんなことしてるんだしね…
「ごめんな…」
「…いいよ。池澤はあたしを心配してここに連れて来てくれたんだもん。それに、あたしは授業よりこっちの方がいい。」
「はは…今の言葉、先輩が聞いたら悲しむかもな。」
「いや、余計に怒られると思うよ。バカかお前ら…って。」
葛城先生が怒った顔を見せる様子を思い浮かべたら、あたしは思わず吹き出してしまった。