君に届け
悪魔はすぐ側に…
池澤と一緒にいると、時間が流れるスピードが早い。
あっという間に終業のチャイムが鳴り響き、授業の終わりを告げる。
「チャイム鳴っちゃったな…次は俺の数学だから、絶対授業出ろよ?」
「わかってる。」
「あ、思い出した!幸村、宿題したか?」
宿題…
色々あって、存在自体を忘れてた─
「その顔…忘れたな?」
「ごめん…」
あたしは、聞こえるかわからないくらいの小さな声で謝る。
「…ったく。まぁいいや。今日は男子に当ててやるから…でも次はないぞ?」
きっと明日の授業はあたしに指名が来るな…
池澤の言葉を聞いて、あたしはとっさに悟った。
「とりあえずここ出よう。授業遅れちまう…」
池澤に背を押され、あたしは屋上のドアに向かう。