君に届け



「…あ。」



「どうしたの、池澤?」



「時間差で出よっか。誰かに見られたら困るし…特に5組の奴らにさ。」



そっか…
あたしは前の時間、授業をサボってる訳だし…



5組の人に見られたら、なんで池澤と一緒に屋上にいるの…?ってなっちゃう。



「そうだね。じゃあ、あたしから先行くね…」



「うん…じゃ、また次の授業でな。」



池澤に小さく手を振って、あたしは屋上のドアを開ける。



外に出て、周りに誰かいないか確認する。



「よし…」



誰もいないことを確認して、あたしは小走りで教室へ向かった。



「穂波!!!」



教室に着いたあたしを真っ先に出迎えたのは、心配そうな表情を浮かべた綾芽だった─







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