君に届け
「綾芽…」
「どこ行ってたの?1限始まっても帰って来ないし…心配したよ。」
「ごめん…ちょっと体調悪くてさ。保健室で休ませてもらってたの…」
とっさに嘘を付く。
だって、素直に池澤と一緒にいたなんて言えないし…
「そっか…もう体調大丈夫なの?」
「うん、ごめんね…」
「もういいよ。でも、今度からは一言言ってよね!」
綾芽はそう言ってあたしの肩を叩くと、机の中からノートを取り出した。
「はい。私の理科のノート貸すね♪授業の内容わかんないでしょ?」
「ありがと…」
綾芽からノートを受け取ると、あたしは自分の席に座った。
鞄に手をかけ、次の数学の用意を出そうとした。
その時─
「ねぇ、穂波。聞きたいことがあるんだけど…」
「え、なに…?」
「穂波さ、寺田 侑隼って奴知ってる?」
!!!!!