君に届け
10.命にかえてでも─



「穂波、バイバイ♪」



「うん…」



それから時間は流れ、帰る時間になった。



HRが終わると、綾芽はすぐに鞄を持って教室を後にした─



「幸村〜」



綾芽の後ろ姿を見送っていたあたしを呼ぶ声。



「イケから聞いたぞ…お前ら仲直りしたの?」



誰もいないのに、声を潜めて話す葛城先生。



「はい、まぁ…」



「そうか…よかったな。でも、金輪際俺の授業をサボるのは認めないからな!」



そう言って、葛城先生はあたしにデコピン攻撃─



「はぁ〜…い。」



額を触りながらあたしは葛城先生に返事をした。



「わかったならよし。あ、それとイケから伝言。放課後中庭来てだってさ。」



葛城先生は伝言を伝えると、あたしを残して教室から出て行った─






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