君に届け
偶然…
そんなはずはない。
侑隼が通う高校は正反対の方向にあるし、この道を通る訳がない。
どこからか後をつけてきてたのかな…?
「はぁ…はぁ…」
「もうバテた?」
必死に走って逃げたはずなのに、侑隼はあたしの目の前で余裕の笑みを浮かべて立っていた。
回り道されたか…
「聞いたよ。お前、高校の教師とデキてるんだって?」
「え…?」
なんで侑隼が池澤のことを知ってるの…?
誰から聞いたの…?
それ以前に、あたしと池澤の関係を知ってる人は、葛城先生しかいないはず…
「お前の身近な奴に聞いたんだよ。誰だろうな?」
まさか…
葛城先生が…?
そんな訳ない。
そんなはず…ない。
「誰に…聞いたの?」
あたしは息切れしながら侑隼に尋ねた。
「ん〜…それは教えられないな。だってあいつは、俺が送ったスパイだから。」
スパイ…?