君に届け



何の為に…?



あたしを見張る意味が侑隼にあるとは思えない。



「…何がしたいの?」



震える拳を握りしめながらあたしは聞く。



「何って…お前を、穂波を取り戻したいんだよ。」



「え…?」



訳わかんない…
あたしを取り戻したい?



「穂波があそこに来なくなってからずっと…後悔し続けた。穂波を手放したこと、後悔し続けた…」



侑隼はそう言いながら、あたしにゆっくりと近付いてくる。



「穂波…教師と付き合ってるなんて、学校にバレたらヤバいだろ?俺のとこに戻って来いよ…」



ふざけないで…
あたしはもう、あの頃のあたしじゃない─



今のあたしの大事な人は、池澤ただ1人だから…



「嫌…絶対に戻らない!」



あたしは、侑隼の目をしっかり見つめて言い放った。






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