君に届け
「へぇ〜…俺にそんな口きくなんて、お前違う人みたいだな。あの…池澤って教師の影響か?」
「そうかもね…」
あたしは、侑隼の質問にあえて曖昧に答える。
本心をこんな奴に教える筋合いはない。
「俺は前の穂波の方がよかったな。」
「アンタが何言っても戻らないから。あたしは今の生活が好きなの…」
「今の穂波には強情って言葉が一番似合うよ。前の方が扱いやすかった…」
扱いやすかった…?
やっぱり侑隼は、本気であたしのことを想ってくれてたんじゃないんだ─
ますます戻る訳にはいかない。
こんな奴に、あたしは絶対負けない…
「じゃあ、今のアンタには卑劣って言葉が一番似合うと思うけど?」
「言うなぁ穂波…」
侑隼は軽く笑うと、あたしの腕を掴んだ。
「……っ!!!」