君に届け
「離して!!」
「嫌って言ったら?」
侑隼に離す気はない。
それなら…
あたしは渾身の力で侑隼の手を振りほどこうとした。
でも相手は男。
力の差は歴然だった─
「久しぶりにあそこに行こって、一緒に遊ぼ。」
すごい力…
振りほどけない…
「…嫌…だ。」
ここはいつも人通りの少ない場所だけど、今日に限って誰もいなかった─
助けは求められない…
「穂波に拒否権はないから。もう許さない…」
「あたしだって許さない。アンタなんか大っっ嫌い!!!」
さらに力を込めて、あたしはようやく侑隼の手を振りほどいた。
「…大っっ嫌い…か。」
下を向いてそう呟いた侑隼。
今度は何する気…?
そう思って侑隼を注視していたあたしは、後ろに近付く存在に気付かなかった─
「…!!!」
突然頭に痛みを感じ、何が起こったのかわからないまま…
あたしの意識は消失した。