君に届け
「………?」
渡された紙切れには、地図みたいなものが書いてあった。
「先生…穂波を助けて。」
「えっ…?」
何言ってんだ…?
「穂波が危ないの…私は助けに行けない。だから…先生にお願いしに来た。」
「矢野、どういうことだよ?幸村が危ないって…助けに行けないって…?」
「もう時間がないの。あいつらが行動を起こしてるかも知れない。先生、早くそこに行って…」
矢野はそう言うと、階段をかけ降りていった。
すれ違い様に、矢野の目に涙が溢れていたことに気付いた。
「ちょっ…矢野!!!」
呼び止めても既に遅く、矢野の姿はもう見えなかった─
「幸村が…危ない…」
矢野が残した言葉。
すれ違い様の涙…
決して嘘だとは思えない。
俺は紙切れを握りしめ、階段を急いでかけ降りた。