君に届け
恐怖
「……っ…うぅ…」
ゆっくりと目を開ける。
真っ暗─
誰もいない…?
「…いたぁ…」
目を覚ました途端、襲う頭の痛み。
そういえば、さっき侑隼と話してて…
誰かに後ろから頭を殴られてから意識が消えて…
「…目、覚めた?」
記憶を思い起こそうとしていると、誰かの声がした。
「随分長いお休みだったね…どう?気分は。」
「侑隼…」
さっきから相変わらずの余裕な笑みを浮かべる侑隼。
「ここ、どこだかわかる?懐かしいだろ…」
「ここは…倉庫?」
中学時代、学校をサボってやって来ていた町外れにある廃倉庫。
「そう…穂波、覚えててくれたんだね。」
侑隼はあたしの顎を掴み、笑いながら言った。