君に届け



叩かれたあたしは、頬に手を当てて侑隼を睨んだ。



今は痛みに構ってる場合じゃない…



幸せで何が悪いの?
光の存在を知って何が悪いの?



侑隼に迷惑をかけるようなことはしてないじゃない…



「何だよその目は…!!」



侑隼…
アンタは間違ってる。



あたしは、侑隼の思い通りに踊らされてるような人形じゃない…



全てが自分の思い通りになる訳じゃないの…



「侑隼は間違ってる…」



「は?」



「自分の思い通りになるのが全てじゃない。」



「何言ってんだよ…俺の思い通りにならない世界なんてクソだ。穂波…俺にしちゃお前も、クソみたいな存在だ。おい!!」



侑隼はそう吐き捨てると、後ろを向いて、誰かを呼んだ。



「……!!」



侑隼の呼び声で、1人の男がやって来た。



「思う存分やっちまえ。もうどうなってもいいや…」



男がどんどんあたしの方へ近付いてくる─



助けて…



「寺田くん!!!」






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