君に届け
11.ごめんね…
「平気…これくらい何ともねぇって。」
そう言って強がる池澤は、自分でナイフを引っ張り、手から抜いた。
「……っ!!」
ナイフを抜いたせいか、止まっていた出血がまた…
「池澤…」
こういう時はどうしたらいいんだっけ…?
「穂波、とりあえず止血しよう。タオルとか…何かない?」
あたしが迷っていると、綾芽が提案してくれた。
止血…
辺りを見渡し、使えそうなものを探す。
「そうだ…!」
そう言えば、鞄の中にタオルがあった…
タオルの存在を思い出し、あたしは自分の鞄を開ける。
そのタオルで池澤の傷口を覆うと、タオルの上から少し力を入れて押した。