君に届け



「痛い…?」



「ん…平気。」



口では平気って言ってるけど、やっぱり痛そう…



「穂波…病院行った方がいいと思うよ。このまま放ってて怪我が悪化したらいけないし…」



「そう…だよね。池澤、立てる?」



「うん…」



綾芽の提案に従い、病院に行くことに。



始めは救急車を呼ぼうかと思ったけど、池澤がこんなことで呼ぶなと電話をかける手を阻止した。



ここから病院へはそんなに時間はかからないし…



結局、あたしたち3人は歩いて行くことにした。



その道中、綾芽は何か言いたげな表情であたしと池澤を交互に見たりしていた。



侑隼のスパイだった…
その事実は、すぐに消え失せることではない。



裏切られた─



あたしはそう思わないといけないのかな…?






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