君に届け
じゃあ、侑隼はあの頃本気であたしのことを…?
池澤を傷付けたことは許さないけど、少し悪いこと言ったかな…
「寺田くん、後悔してた。そんな寺田くんを見てると辛くなって…穂波が進学する学校が私と同じだって知ったから、寺田くんに協力したの。まさか…こんなことになっちゃうなんて…」
言い終わると、綾芽は泣き出してしまった。
「何回謝ったって、許してもらえないことはわかってる。私は…穂波に酷いことしたんだから…」
あたしは何て言えばいいか、全くわからなかった。
綾芽の背中を擦りながら、あたしは言葉を探した。
「でも…綾芽はあたしを助けてくれたじゃん。」
必死に言葉を探しながら、あたしは綾芽に言う。
「あたしね…綾芽が初めて出来た友達なの。高校に入って、池澤に出逢って、人に心を開くことの大切さを知った─人と触れ合うって、こんなにいいことなんだって。だから…」
だから…
あたしは綾芽を許す。
初めて出来た
大切な友達だから─